私にとって、とても思い入れのある熱帯魚のひとつに、インドやスリランカに生息するマルプルッタというラビリンスフィッシュがいます。
大きさは6センチくらい、背びれと尾びれが素晴らしく伸びる、たいへん魅力的な熱帯魚です。
マルプルッタは20年くらい前の飼育書にも登場するくらい古くから知られている熱帯魚ですが、知名度の割には国内ではほとんど流通していない熱帯魚でした。
今では保護動物として輸出規制がされ、養殖された個体がわずかに出回るのみの、たいへん高価になってしまった熱帯魚のひとつです。
もうだいぶ前の話になりますが、かつて熱帯アジアからのワイルド便には、しばしばマルプルッタが混じっていたものです。
今でこそ希少動物として保護されていますが、これだけ多くのマルプルッタが混じりで輸入されるということは、当時はかなり多くのマルプルッタが普通に生息していたのでしょう。
ドクターフィッシュ(ガラ・ルファ)は角質を食べてくれるとして人気を博している熱帯魚です。
ドクターフィッシュだけを入れて育てれば、とても愛らしい様子を観察できます。
なお、皮膚に集まるようにするためには、数週間はエサの量を相当に減らしておく必要があります。
ドクターフィッシュの飼育は極めて容易で、異常な高水温にも生き残り、10度近い低水温にも耐え、エサは沈んだ物を好みますが、食べられるものであれば浮いていようが水中を漂っていようがお構いなしです。
なお、ドクターフィッシュは遊泳力に優れた種類の熱帯魚と混泳させることもできないことはありませんが、空腹になると同居魚の皮膚を削り取って食べてしまう性質があるため、他の熱帯魚との混泳には向きません。
特に弱りかけたネオンテトラなどを飢えたドクターフィッシュと混泳させてしまうと恐ろしいことが起きます。
飢えたドクターフィッシュは泳いでいる魚の表面を削るように食べていく性質があり、一瞬のひとかじりを繰り返して次第に弱っていくターゲットが水底に倒れたとみれば、たちどころに襲いかかり、まだ息があっても、おかまいなしに表皮から凄い勢いで削りながら食べ始め、ものの数分で骨だけにしてしまいます。